【休業手当】企業からの質問殺到!従業員への手当の補助金「雇用調整助成金」を解説!

新型コロナウィルスの影響により、休業を決断する企業も増えています。

休業になると企業は従業員を休ませる事となり、平均賃金の6割以上の休業手当を支払う必要がありますが、大きく業績が落ちている状況での休業手当は支払うことも困難なことが多く、従業員が解雇されるケースも考えられます。

こういった状況に陥らないために、現在実施されているのが「雇用調整助成金」制度の「特例措置」です。

「雇用調整助成金」ってなに?

 

雇用調整助成金とは、「経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度」のことです。

 

つまり、従業員に直接支給されるのではなく、従業員に休業手当を支払った事業所を助成する制度なのですね。
  今回、新型コロナウィルス感染症にかかる特例措置として、この雇用調整助成金の内容が拡充されることになりました。

 

それでは、特例措置の内容について具体的にみていきましょう。

◎生産指標の要件

雇用調整助成金を受給するための条件にひとつとして「生産指標」があります。
※生産指標とは、最近1カ月の販売量、売上高などの事業活動を示す指標のこと。

 

特例措置では次のように緩和されました。

 

従来の制度 特例措置
 3か月10%以上低下   1か月5%以上低下 

 

◎助成率

助成率(休業中に支払った賃金額に対して助成してもらえる割合)も、特例措置では引き上げられています。
※休業を実施した場合の賃金×助成率が受給額となります。

 

従来の制度 特例措置
中小企業の助成割合 2/3 中小企業の助成割合 4/5
大企業の助成割合 1/2 大企業の助成割合 2/3

 

さらに、特例措置では解雇等をしなかった事業主には、さらに助成率が上乗せされて次のようになります。

 

解雇をしなかった場合
中小企業の助成割合 9/10
大企業の助成割合 3/4

 

◎対象となる労働者

これまでは雇用保険被保険者が対象でしたが、特別措置では雇用保険被保険者として雇用された期間が6カ月未満の労働者、雇用保険被保険者以外の労働者も対象としています。
これにより、新規学卒採用者や、パート・アルバイト労働者も対象となります。

   

どの業種が対象なの?助成金が適用される事業種

 

雇用調整助成金の今回の特例措置が適用されるのは、「新型コロナウィルス感染症の影響を受ける事業主(全業種)」となっています。
たとえば、観光客のキャンセルが相次ぎ、売り上げが減少した企業や、市民活動の自粛や行政からの営業自粛要請を受けて、売り上げが減少した企業などです。

新型コロナウィルスの影響で、さきに説明した生産指標の低下などの条件に当てはまれば、すべての業種が助成を受けることができます。

   

雇用調整助成金の申請期間は?

 

コロナウィルスの影響による特例措置の実施は、緊急対応期間2020年4月1日から6月30日までとなっています。
しかし休業期間については、2020年1月24日以降のものまでさかのぼって申請することができます。
つまり、すでに休業を実施している場合でも、6月30日までに事後提出することが可能なのです。

ただし、先に説明している「生産指標の要件」(1か月5%以上低下への緩和)については、4月1日から6月30日の期間中のみが対象となります。

   

申請するための雇用調整助成金申請書類を準備!

 

雇用調整助成金の申請は、「計画届」と「支給申請」の2つが必要となります。

それぞれに必要な書類は下記のとおりです。

計画届に必要な書類(6/30までは事後の提出も可)
① 休業届実施計画
② 事業活動の状況に関する申出書
  添付書類:売上簿、営業収入簿、会計システムの帳簿など
③ 休業協定書
  添付書類:組合員名簿、労働者代表選任書
④ 事業所の規模を確認する書類
  既存の労働者名簿及び役員名簿


   

申請に必要な書類を用意しよう
① 支給要件確認申立書・役員等一覧
② (休業等)支給申請書(自動計算機能付き様式)
③ 助成額算定書(自動計算機能付き様式)
④ 休業・教育訓練実績一覧表(自動計算機能付き様式)
⑤ 労働・休日の実績に関する書類
  ・出勤簿、タイムカードの写しなど
  ・就業規則または労働条件通知書の写しなど
⑥ 休業手当・賃金の実績に関する書類
  ・賃金台帳の写しなど
  ・給与規定または労働条件通知書の写しなど

   

受給までの流れのまとめ

 

従来の雇用調整助成金は申請から支給まで約2カ月かかっていましたが、特例措置については手続きを簡略化し、約1カ月で支給できるようになっています。

受給までの流れは次のとおりです。

① 休業計画・労使協定

② 計画届の提出 ※特例として、計画届の提出が休業の実施後でも可となりました。

③ 休業の実施

④ 支給申請

⑤ 労働局の審査

⑥ 支給決定、振込

   

その他のポイント

 

上記に説明した以外にも、次のようなポイントがあります。

 

◎対象となる労働者

これまでは、短時間休業については、労働者が一斉に休業する必要がありましたが、特例措置では、部門ごと、店舗などの施設ごとの休業も対象となりました。
このため、ホテルやタクシーなど、従業員がシフト制で働く職場も制度を利用することができます。

 

◎残業相殺の停止

従来の制度では、休業をした月に残業もしていた場合は、残業時間分が助成金額から差し引かれていました。しかし特例措置では、この残業措置は停止となっています。
これにより、一般的に残業の多い観光業や飲食業は、助成金の額が大きくなると考えられています。

 

まとめ

 

上記に説明した以外にも、次のようなポイントがあります。

◎対象となる労働者

雇用調整助成金の制度は今回の特別措置実施で条件がかなり緩和され、また休業後の事後申請も可能になり、利用しやすくなりました。
支給申請の窓口は、労働局、ハローワーク、支給申請窓口です。
厚生労働省のHPに各都道府県の窓口について、記載されていますので、申請の必要がある場合はこちらを参照してみてください。

 

→厚生労働省 WEBサイト

 

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