新型コロナ騒動により人々の生活スタイルは大きく変わりました。
このような状況下は、昔から人の本性が出やすいと言われています。
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「トイレットペーパーがどこにもない!」
2020年2月中旬、SNS上でこんな叫びが散見されました。
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即座に製紙業界をはじめ、政府もこんなコメントを発表しました。
「トイレットペーパーの98%は国内生産であり、在庫がなくなることはない!! 安心してください。」
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もちろん、一人ひとりが今必要な分だけを購入すれば、トイレットペーパーやティッシュペーパーが店頭から消えることはありませんでした。しかし、直前の騒動である「マスク不足」をほぼすべての国民が経験している。このマスク不足が頭をよぎってしまい、「次はトイレットペーパーやティッシュペーパーが無くなる!」と思い込んでしまったのです。
「中国からの輸入がストップするのでトイレットペーパーが無くなる!」というデマの犯人を今でも探している状況です。
このようなデマひとつで、国民全体の行動が変化してしまう世の中です。
現在、ほとんどの地域でトイレットペーパー不足は解消しています。
しかし今から一か月半前、最初は「トイレットペーパーが無くなる」というちょっとしたSNS上のデマであったかも知れないが、結果的には素早くトイレットペーパーを大量に買った人が安心した生活をおくっていました。製紙業界や政府のコメントを信じてトイレットペーパーを買い溜めしなかった(?)人よりは・・・・・
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経済学用語に「合成の誤謬(ごうせいのごびゅう)」という言葉が存在する。
~個人や1団体(ミクロ)の視点では正しいことであっても、それが合成されたマクロ(全体)の世界では、必ずしも良くない結果となること~
つまり、一人がトイレットペーパーを買い溜めしておくことはその人にとって合理的だが、みんながトイレットペーパーを買い溜めしてしまうと社会全体としては非合理的になってしまいます。
最終的に、「いい加減な噂話であったデマが、デマでなくなる!」という現象を起こしてしまったのです。
「なぜ、早目にトイレットペーパーを買わなかったのか?ネット情報を信じなかったあなたが悪い!」
最初にトイレットペーパーを買い溜めした人が、買い溜めしなかった人を非難する現象も起こっていたのです。
この「合成の誤謬」の例としてよく取り上げられるのが、「貯蓄のパラドックス(矛盾)」です。
~個人が貯蓄を増やそうとするミクロ的な行為は、マクロ的には貯蓄を増やす行為にはならない場合がある。個々人皆が貯蓄をすれば、消費が停滞し景気が悪くなる。結果的に個々人の所得も低下してしまい貯蓄は必ずしも増えない~
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現在、新型コロナ騒動の中、各国の政府支援のひとつに国民への現金給付がああります。
各国の優秀な専門家達が毎日議論しているテーマでもあります。
「国民に現金給付しても、皆すぐに貯蓄してしまい、消費量は高くならないから現金給付は意味がない」とも、一部では言われています。
現金給付、クーポン券、電子マネー給付、減税などなど、様々な政府の施策がありますが、やってみないとわからない、つまり現時点では正解がないのです。。。
2021年春、どんな世の中になっているのか? 誰も予想できません。。。。。