「アンナ」シリーズに追加された2つのコンパクトキャンパー「モデル M /モデル L」
全長4065mm、全幅1665mm、全高2400mmはマツダボンゴバンの基本的なボディサイズです。自分のクルマと比べてみて、このサイズは大きいですか?
あまり変わらない、小さい、その感じ方は人それぞれだと思います。でも、このサイズでキャンピングカーだったとしたら、また印象が変わるのではないでしょうか。
AtoZのアンナのラインアップに新たに追加されたモデルは、このマツダボンゴバンをベースにしたモデルです。そもそも、アンナはNV200をベースにしたモデルNがあって、その絶妙なサイズ感が、オーナーから支持されてきました。そのアドバンテージを継承したまま、今回のモデルが誕生しました。
ちなみに、マツダボンゴバンはダイハツグランマックス、トヨタタウンエースと同一車種となります。サイズもすべてまったく同じなのです。
目次
マツダボンゴバン/タウンエースのサイズと積載量に注目
キャンピングカーには軽キャン、バンコン、キャブコン、バスコンなどでカテゴリー分けされています。そのサイズは軽キャンから順番に大きくなっていくのが一般的。
新型のアンナM&アンナLはマツダボンゴバンのキャンピングカーなので、バンコンのカテゴリーとなります。そのバンコンのなかでも小いほうで、ハイエースのバンコンなどと比べると、非常にコンパクトです。
キャンピングカー全体から見ると、大きすぎず、小さすぎない、ちょうど中間のサイズともいえます。普通自動車のサイズ感でいうと、なんと、日産ノートと同じぐらいなのです。
コンパクトで運転しやすいキャンピングカーですが、アンナは積載能力も高く、居住空間を確保したモデルもラインアップに加わっています。
マツダボンゴバン/タウンエースのキャンピングカー新型「アンナ」は高さ違いのカスタムでバリエーションを展開
今回追加された新型アンナはベース車両がマツダボンゴバンのモデルLとモデルMの2種類。各モデルは高さの違いがあり、居住空間がそれぞれ異なります。
モデルLはマツダボンゴバン本来の高さ。モデルMはルーフ部分にオリジナルハイルーフが取り付けられ、室内高は1760mmを確保しました。
基本的なボディサイズは同じで、実際にドライビングしてみると、ミニバンに乗っているような感覚です。駐車場や利用する施設など、普段の利用シーンに合わせて、高さをセレクトできるのです。
キャンピングカー製造30年以上を誇るAtoZの技術で生まれたハイルーフ
アンナMなどにはベースとなるマツダボンゴバンのルーフにオリジナルのハイルーフが取り付けられていますが、その全体的なシルエットや室内空間の作りは、美しくパッケージされ完成しているのが特徴といえます。
ミニバンライクなコンパクトボディとはいえ、キャンピングカーとしての作りを追求できたのは、AtoZだったからかもしれません。
大きなキャブコンからコンパクトな軽キャンまで、いろいろなキャンピングカーを作ってきたAtoZ。その歴史は30年以上もあるのです。
扱いやすさ、快適な空間を追求したAtoZのコンパクトキャブコン「アミティ」はロングセラーモデルとして、長年、ユーザーからも支持されてきました。
このような、キャンピングカー作りでの開発力、技術力は蓄積され続け、今回のようなアンナが生まれた、といえるのです。
室内最高部1760mmを確保したマツダボンゴバン/タウンエースキャンピングカー「アンナ・モデルM」
アンナのなかで、車内空間が最も広いのはモデルM。オリジナルハイルーフのおかげで、大人でも室内で立って歩けるほどです。クルマの全高は2400mmあって、室内の最も高い位置で1760mmを確保しました。
全長、全幅はコンパクトサイズで、運転もしやすいですが、キャンピングカーの8ナンバー登録車両となっています。
室内での快適性を追求するなら、このモデルMがおすすめです。ルーフ部分にはソーラーパネルやベンチレーションを取り付けることもできます。
室内に入ってみると、その広さは一目瞭然。外から見た印象とは違って、広々としていることに驚いてしまいます。
インテリアはキャンピングカーらしい、ソファやテーブルがセットされていて、座席を移動する時も、身をかがめることなく移動できるのでストレスフリーです。
ルーフ部分にはフロアをセットできるようになっているので、ベッドエリアとしても利用可能です。広さは1250×1750mm、就寝定員は下のベッドと合わせて大人2名、子供2名。
マットは分割して前方のバンク部分に収納できるようになっていて、収納やベッドセッティングも簡単です。
バンクスペースにマットを収納しても、寝袋などの寝具を収納するスペースとしても利用できる広さが確保されていました。
セカンドシートにはAtoZオリジナルのA-SMARTシートを搭載しています。シートアレンジができて、セカンドシートでも前方を向いて乗車できるドライビングモードが可能です。
A-SMARTシートをフラットモードにして、リアのベンチシートを展開すれば、奥行き2080mmという、広々としたベッドエリアが完成します。
天井も高く、奥行きがあるので、開放感のあるベッドレイアウトになります。ベッド下にはスペースがあるので、収納スペースとしても利用可能です。
このサイズのキャンピングカーであれば、普段使いも余裕ですね。買い物や通勤などに使いながら、ちょっとした休憩スペースとして利用することも多いのではないでしょうか。
そんな時便利なのが、リビングモード。セカンドシートを後方に向けて、ベンチシートとテーブルでリビングスペースを作ります。
テーブルを取り付ける部分は、ネジを緩めると、前後にスライドするようになっていて、テーブルの位置を前後に大きく移動することもできます。
例えば、ひとりで利用する時など、テーブルを大きくスライドして、広々と利用することが可能になります。
細かいギミックではありますが、キャンピングカーの使い方を理解している老舗ビルダーらしいアイデアといえるでしょう。
テーブルを固定するカウンター部分に集中電源スイッチが取り付けられ、AC100VコンセントやUSBポートが装備されています。
ボディ左側には小さなキャビネットがあり、コンパクトなシンクが組み込まれていました。
シャワーヘッドが伸びるので、ドアから外に出して利用することもできます。ワンちゃんのお散歩をして、足を洗う時などにも便利なのではないでしょうか。
シンク下にはキャビネットがあって、小物を収納できるようになっています。扉はベッド展開しても開閉できる仕様で、使い勝手良く設計されています。
給水、排水タンクは最下部にセットされ、スペースを有効に活用しているのが特徴です。
シンクの隣には、容量18ℓの冷蔵庫がビルトインされていました。リビングレイアウトやベッドレイアウトの時、ドリンクなどを簡単に取り出せるのは便利です。
立ち上がったルーフ部分にも収納スペースが確保されました。右側にドア付きキャビネット、左側と後方にオープンタイプのキャビネットがあります。
オープンタイプのキャビネットは開口部から奥に深さがあるので、荷物が飛び出すことはありません。
また、ハイルーフにベッドマットを展開しても、ルーフベッドから手を伸ばせば、荷物を取り出すせる位置にキャビネットがあるので、使いやすさを感じます。
そして、よく見るとリアの天井部分が1段下がっているのが分かります。ベッドスペースとなる空間は高さを確保しながら、リア側は少し車高が低くなっているのです。
これは、マックスファンなどのベンチレーターを取り付けた時でも、クルマの全高はそのままになるように、と設計されたデザインです。細かい個所にこだわりを感じますね。
外側から見ると、リアの一段下がっている部分には、両サイドにフックなどをかけられるバーが取り付けられているのが分かります。このルーフの形状によって、ベンチレーターのカバーへの空気抵抗も軽減してくれるのです。
キャンピングカーでありながらクルマとしての機能性を追求
広々としたモデルMは魅力的だけど、自宅のカーポートに入らない、いつも行く駐車場に入れられない、という人も多いのではないでしょうか。
であれば、アンナのなかで、最も天井が低いモデルLがおすすめです。こちらは天井の高さが低いのでキャンピングカー登録ではなく4ナンバー登録になりますが、基本的な装備はモデルMと同じ。しっかりとリビングレイアウトも利用できます。
モデルLは全高1930mm。立体駐車場も余裕のサイズです。ボンゴバンの基本的なサイズのままなので、キャンピングカーを意識しないで乗れるのがポイント。
室内はLEDライトが組み込まれ、落ち着いた雰囲気になっています。普段使いしながら、いつでもリアのリビングエリアでちょっとぜいたくな時間を過ごせるのです。
買い物の帰り、通勤の途中、少しだけ時間が取れたら、リビングに移動して、のんびり。買い物帰りに、そのまま旅に出かけてしまうなど、これまでになかった体験ができるかもしれません。
また、電気やテーブル、水道まで付いているので、いろいろな場所でのテレワークにも活用できそうです。仕事&バケーションのワーケーションなど、ボーダーレスなアンナならではの、マルチな使い方ができるのではないでしょうか。
マツダボンゴバン/タウンエースは基本的なクルマとしてのスペックが高いことも注目です。
ニューモデルとなるモデルMとモデルLには衝突回避支援システム(スマートアシスト)、アイドリングストップ、横滑り制御機能(VSC)、タイヤ空転抑制機能(TRC) 、ABS、リアコーナーセンサー、LEDヘッドランプが標準装備されています。
特にキャンピングカーは長距離運転になることが多く、知らない場所での移動など、普段使いとは違ったドライビング環境にあります。
このような状況では、クルマの安全性を中心とした機能性が充実しているのはありがたいですね。
ここまで充実した装備がついているキャンピングカーとなると、珍しい存在かもしれません。
普段使いできるコンパクトなサイズで、長年キャンピングカーを作り続けた老舗ビルダーの高い品質をもったアンナ。そのぜいたくな空間を手に入れたくなってしまいます。