手軽に楽しめるキャブコン、マツダボンゴ(タウンエース)のキャンピングカー「アレン」がAtoZから登場

 

キャンピングカーを大きく分けると、バンコンとキャブコンに分けることができます。クルマ本来のボディを利用するバンコン、リビングスペースをベース車両に架装するキャブコンです。

 

それぞれに特徴があるので、使い方などに合わせてセレクトするのが一般的です。でも、なかには、キャブコンの広さに魅力を感じながらも、運転に不安を感じてバンコンに乗る人も多くいます。

 

そんなユーザーにおすすめなのがコンパクトキャブコンというカテゴリーです。タウンエースやNV200をベースにしたキャブコンで、カムロードやハイエースをベースにしたキャブコンよりコンパクト。運転しやすいので、普段使いでも利用しやすくなっています。

 

このコンパクトキャブコンカテゴリーのニューモデルとして登場したのがAtoZの「アレン」。ボディ形状をハイ、ローの2種類用意して、デビューしました。今回はこのNEWアレンをレポートしたいと思います。

 

 

車両の詳細情報はこちら
アレン・ロー⇒https://cchikaku.com/cardata/s/alen-l/
アレン・ハイ⇒https://cchikaku.com/cardata/s/alen-h/

 

 

マツダボンゴ(タウンエース)ベースの機動力

 

 

「アレン」のベース車両はマツダボンゴトラック。トヨタのタウンエーストラックと同じクルマです。2WDの最小回転半径が4.9mとなっていて、小回りの効くハンドリングが特徴です。

 

コンパクトなベース車両を使うことで、アレンのボディサイズも全長4660㎜、全幅1880㎜、と扱いやすいサイズを実現しました。

 

数字だけで見ると分かりづらいかもしれませんが、2022年に発売された新型ノアの8人乗りと同じぐらいのサイズです。ミニバンの運転ができる人は、このキャブコンもストレスなく運転できるのではないでしょうか。

 

 

あえて高さを抑えたアレン・ローの使いやすさ

 

 

 

まずはアレン・ローからみていきましょう。新しいアレンはローとハイのモデルが設定されました。アレン・ローは既存のアレンを継承したモデルで、アレン・ハイはファミリーでゆったり寝られることをコンセプトにバンク形状を変えています。

 

でも、ローとハイの高さの違いは、ベンチレーターを取り付けたモデルであれば、4㎝しか違いがありません。

 

なので、室内空間はローモデルであってもしっかりと確保されていて、室内に入っても広々としています。

 

基本的なレイアウトはサイドエントランスで、リビングスペース、キッチンエリアがあり、後方に2段ベッドを設置しています。

 

シンプルなレイアウトで2段ベッドの壁を開放的にすることで、広がりのある空間が完成しました。

 

 

 

リビングエリアのダイネットスペースはシートアレンジでフルフラットベッドとして利用できます。

 

シートの背もたれを倒してフラットにしたら、シートを横スライドさせエントランス部分までベッドマットを延長し、隙間にベッドマットを入れて完成。

 

リアの2段ベッド後方へ抜けるように広がっているので、サイズ以上の広さを感じることでしょう。

 

 

ローモデル最大の特徴がバンク形状です。前方の立ち上がりが低く抑えられていて、全体にコンパクトなバンクのロープロファイルスタイルを採用しています。

 

バンクベッドのサイズは1630×1370㎜。子供であれば十分に寝られるサイズです。2人旅用のラゲッジスペースとして割り切った使い方をする人であれば、ローモデルがおすすめ。ベッドマットの手前のフラップが立ち上がるので、荷物が落ちてくることはありません。フラップを上げたままでも荷物の出し入れができて、室内も広く感じることでしょう。

 

 

リアのベッドは横幅80㎝と余裕のサイズ。ボディ全長が4660㎜しかないのに、十分な広さを確保しています。キッチン、シートのサイズをギリギリまで調整して、2段ベッドのゆとりが生まれました。

 

 

2段ベッドのベッドマットを取り外すと、ラゲッジスペースとして利用できます。外からアプローチできる扉がついているので、外遊びのギアもたくさん積み込むことが可能です。

 

撮影車両はウォータータンクがラゲッジスペースに設置されていました。これは室内クーラーを取り付けているから。スペースを有効活用しているのが分かります。

 

 

快適性を追求したキャンピングカーの充実装備

 

 

エントランス横にキッチンエリアがあります。後方のラゲッジスペースにウォータータンクがあったのは、このキッチンカウンターにオプションのクーラーがセットされているからでした。

 

カウンターの左側にAC100V仕様のコンパクトなクーラーが設置されているのが分かります。吹き出し口部分に合わせて、扉がカットされています。

 

稼働させる時は外部電源を接続して利用するタイプ。最近では車中泊施設での電源供給が一般的になってきたので、夏の夜など、外部電源を利用すれば、手軽に快適な空間を手に入れられます。

 

リビングエリアからも、2段ベッドからも操作しやすい位置。気軽に操作できるので、夜に寝苦しさを感じたら、さっと手を伸ばすだけでスイッチオンが可能です。

 

 

キッチンカウンターのエントランス側にはシンクと冷蔵庫を設置。冷蔵庫の扉は横を向いていて、外からもドリンクなどを取りやすいポジションです。

 

冷蔵庫の上にシンクがありますが、省スペース設計で配管されているので、シンク下に給排水用タンクを設置していません。このスペースの使い方がAtoZらしさでもあります。

 

 

コンパクトキャブコンですが、エントランスの左側には下駄箱収納まで設置されていました。エントランススペースが限られているので、コンパクトなモデルは特に靴の収納場所に困ってしまいます。そこで、しっかりと大きめの収納スペースを確保しているのです。

 

高さもしっかりと確保されているので、ブーツなども収納できることでしょう。トレーなどを用意すれば、濡れた履き物も気兼ねなく収納できます。

 

 

標準装備される天井のLEDライトは面で光っているような印象で、まるで、天窓から日中の日差しが差し込んでいるような感覚です。この明るさも室内を広く見せる効果があるのかもしれません。

 

天井ライトと2段ベッドの間にはベンチレーションを設置できるようになっています。この位置であれば、キッチンで調理する時、換気扇としても利用できそうです。

 

 

 

室内の電源操作をする集中スイッチパネルはエントランス上部に。車内に乗り込まなくても操作できるので、暗闇でも操作しやすく便利です。

 

エントランス上部にはライトが付いています。ポーチライトとして、ボディの外側に装着されていることが多いのですが、この位置にあれば、足元をしっかり照らしてくれるし、夜間の消し忘れも防ぐことができます。

 

 

就寝定員を増やしたアレンのハイモデル

 

 

今度はハイモデルの室内をみていきましょう。基本的なレイアウトはアレン・ローもアレン・ハイも同じです。

 

室内の高さもそれほど変わらない印象です。ただ、フロント側だけは高さが確保されていて、ローモデルとは違った広がり感があります。

 

 

ダイネットベッドはローモデルと同じようにフルフラット仕様。1250×1840㎜の広さがあり、大人2人でもゆったりと寝られる広さです。

撮影車両は開発途中のクルマだったので、現行モデルでは背もたれがベッドマットに利用できるように変更されているそうです。まだまだ、使いやすさを追求して、変更する個所も出てくるかもしれません。

 

 

広いダイネットベッドですが、後方のシート部分は、シート下の台座を広げて、マットを載せるだけで簡単にセッティングできます。展開のしやすさもAtoZならではの仕様です。

 

 

ハイモデルはバンク部分のスペースが広め。ローモデルと比べると前方の立ち上がり部分に高さがあるのが分かります。その分、バンク全体の高さを確保できたので、しっかりと大人でも就寝できるようにスペースがとられています。

 

ベッドマットは後方に引き出すタイプで、大きく迫り出してきます。バンクベッド部分は1600×2000㎜のビッグサイズ。身長170㎝であれば、頭を後方に向けて寝ると、足元に30㎝の余裕が生まれ、顔付近にも十分なスペースがあります。

 

実際に使ってみて、居住空間としてしっかりと利用できるバンクエリアであることが分かります。

 

 

 

後方は2段ベッド仕様。ローモデル、ハイモデルともに同じレイアウトになっています。ベッドマットは簡単に取り外せるようになっていて、ローモデル同様にラゲッジスペースとして利用することができます。

 

アレンには2つのスタイルが設定されていて、カラー違いで「キセキ」と「ミライ」が設定されています。どちらも「時」を感じさせる言葉で、そこから連想される世界観でコディネイトが行われたそうです。

 

 

ローモデル、ハイモデルともに、インテリアデザインはAtoZのキャンピングカーのコーディネートをしているインテリアデザイナーMAKO氏が担当。落ち着いた雰囲気でありながら、カジュアルな印象が伝わってきます。

 

 

吊り下げ棚部分には12V稼働のクーラーが設置されていました。クルマのバッテリーと同じ直流12Vで動くので、電気の変換ロスもなく、効率よく稼働できることから、注目されているクーラーです

 

クーラーはローモデル、ハイモデルともに、キッチンエリアかベッドエリアへの設置がオプションで可能になっているので、自分の使い方を考えて設置しておくのがいいでしょう。

 

 

直流12Vで稼働するクーラーも一般的な家庭用クーラーと同じで、室外機を設置する必要があります。室外機は過酷なクルマでの使用を考慮した専用設計でコンパクト。ボディに張り付ける形で装着します。

 

 

 

エアコンなどを駆動させるためにも、電源システムが強化されています。高出力に耐えるスペックはもちろんのこと、電源確保の充電もしっかりとできるように、効率よく入力電気を制御するCTEKが採用されました。

 

 

その他にも、長年キャブコンを製造してきたAtoZらしいギミックが盛りだくさんです。シンクに備え付けられていた蛇口は、ホースが延長できるシャワータイプで、窓から外へ出して、ボディに装着されたフックへかけることで、アウトドアシャワーとして利用できます。夏場のマリンレジャーなどで活躍してくれそうです。

 

 

 

リアサイドにはマルチボックスが取り付けられていました。使い方はオーナーさん次第ですが、例えば、室内に置いておきたくないゴミなどを運ぶスペースとして利用するのもいいでしょう。

 

防水タイプになっているので、外で利用するギアなどをしまっておいてもいいかもしれません。

 

 

 

その他にもオプションのAtoZオリジナルリクライニングシートなども設定されていました。アームレスト付きでドライバーの疲労を軽減してくれます。コンパクトなキャブコンではありますが、このようにオプションを追加することで、大型キャンピングカーのフル装備と変わらない環境が手に入るのもポイントです。

 

普段使いしやすいサイズ。そして、豊富なオプション。長年の経験で走りやすさや使いやすさを追求してきたAtoZならではのコンパクトキャブコン「アレン」でした。まさに普段使いにも使えるちょうどいいキャブコンといえるのではないでしょうか。

 

【ライタープロフィール】
渡辺圭史(わたなべ・けいし) 1971年東京生まれ。アウトドア用品メーカー、出版社を経て、キャンピングカー専門誌編集長に。 現在はフリーの編集者兼ライター。アウトドアをキーワードに、 より楽しいライフスタイルを求めてゆるりと奮闘中。

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